
プロフィール
奥野 智萌
Chiho Okuno
美術作家。1998年京都生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻博士後期課程在籍。
自身の経験をうさぎ、海亀、蟹、人魚といった異質な身体を持つ生物を通して再解釈したり、連想ゲームのように辿り着いたモチーフを導入することで、元の文脈からずらし、異なる因果の可能性を探求する作品制作を行う。
近年の主な展示に、個展「記憶からあとずさり」(GALLERY b. TOKYO、2025)、TOKAS-Emerging 2024|奥野智萌個展「新身訓練: I want to see my back.」(トーキョーアーツアンドスペース本郷、2024)、東京ビエンナーレ2025プレアクション「旅のお供」(CREATIVE HUB UENO “es”・Slit Park YURAKUCHO、2024)、「漫画圏」(アート/空家 二人、2024)など。
主な受賞に、「アートアワードトーキョー2024」建畠晢賞、平成藝術賞。
1998年 京都府出身
2021年 東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業
2024年 東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程修了
現在 東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現領域博士後期課程在学中
指点字通訳者(2020年2月〜)
2021年より先端同期4人に声をかけ合同文芸誌『百年寝ようよ』始動
2023年よりウェブメディア「百年寝ようよ」立ち上げ。「つみきマンガ」交代連載中
2024年よりnoteにて漫画「またひとつ賢くなった」をセルフ連載中
あだ名は「おくちー」(おくのちほの略、小2からのあだ名)
あだ名詳細はこちらから 2021年7月5日月曜日 おくちーの経緯について
できること
ざっくり、①漫画やイラスト、②本をはじめとする印刷物、③映像編集、④手芸(ぬいぐるみ、編み物、ミシン作業等)ができます。使用できるアプリケーションはAdobe Illustrator、Photoshop、Indesign、Premire Pro、Audition のほか、CLIP STUDIO PAINT やGarageBandです。カメラはあんまり得意じゃないので映像作家の荒川弘憲にお願いして協働したりしてます。
①漫画やイラスト
線が少なめのキャラクターが得意です。学習漫画から漫画を描き始めたこともあり、ある物事について会話形式で解説するような漫画が一番描き慣れていると思います。主にCLIP STUDIO PAINTを使用しますが、下書きを出力してペン入れをアナログにしたり、Adobe Photoshopを使って写真や鉛筆の線を画面に取り込んだりとデジタルとアナログを行き来しながら画作りをすることが多いです。
一枚絵はあんまり大々的に発表していないですが、Youtubeのサムネイルや背景に使えるドット絵の画像、雑誌などの空いたところに入れるちょっとしたイラストといったものを適宜作ってきました。
仕事としてやったことはまだないのですが、挿絵としての銅版画も制作できます。
漫画・イラストについて詳しくはこちらから
②本をはじめとする印刷物
これまで、Adobe Illustrator、Photoshop、Indesignを使って自分の展覧会DMや記録集、合同文芸誌などのZINEといった印刷物を作ってきました。凝った複雑なデザインにするよりかは、情報の過不足がなく見やすさを第一に作ることが多いです。
最新だと、2025年1月に開催した個展「記憶からあとずさり」の記録冊子を作っています。4月下旬頃から順次販売予定です。
「新身訓練」では、新聞風のデザインで誌面を作り、新聞印刷でタブロイド判の読み物にしました。
個展のDMは過去二回とも自分でデザインをしてきました。「新身訓練:I want to see my back.」ではグレーの紙にリソグラフで白黒二色刷りしています。「記憶からあとずさり」では紙を画用紙にすることで実際の銅版画の質感を表現しました。
合同文芸誌『百年寝ようよ』では、表紙、目次や特集のデザインのほか、空いたページにイラストを書き下ろしたり、告知画像やお品書きを作ったり、Webページの制作・運営など諸々やっています。
2018年から藝大で本を作って売りたい人たちによる有志団体ほん部の部長を務め、藝祭や取手藝祭に合わせて有志で本を作ったりもしてきました。具体的には『藝大裏ガイド1』(お手伝い)、『藝大裏ガイド2』、『藝大小話』、『先端芸術表現科向け古美術研究旅行丸わかりBook』で、デザインは都度希望者にお願いしており、私は編集・発行者の立場になることが多かったです。
③映像編集
Adobe Premiere ProとAuditionを使って、映像と音の編集ができます。必要に応じてGarageBandで簡単なBGMを作ったりもしてきました。
過去の映像作品は自分で編集しています。「《Finger Braille Piano》〜2020年11月13日 福島 智先生インタビュー〜」では約2時間のインタビュー映像を45分に編集し、《ナイトルーティーン》や「バックボーン」では自作の漫画をアニメーションに編集しました。
クライアントワークでは、「DOMANI・明日展 2022-2023」の作家紹介動画を荒川弘憲が構成、私が字幕や題字などの情報部分と手分けして制作しました。
2025年4月には茨城県の取手市役所こども政策室発足をアピールするためのアニメーションが公開されます。取手市にゆかりのある35歳以下の人たちとアイロンビーズを作りながら「話を聞く」ことについてディスカッションするワークショップを開き、そこでできたアイロンビーズの動物たちによるインタビュー映像風のアニメーションです。企画から制作まで、一人でできることがわかりました。
④手芸
5歳から趣味は手芸ということにしています。編み物ではかぎ針が得意ですが、棒針も指編みもできます。2024年12月には千葉県こども病院で指編みワークショップを開催し、看護師さんたちと指編みで虹を作りました。
縫い物ではぬいぐるみ作りが好きです。大学一年生の時に着ぐるみ制作工房でアルバイトをしていたこともあり、割と大きな構造物も作れます。2023年には所属する研究室の先生から依頼されてボコブリンマスクを作りました。
東京ビエンナーレ2025プレアクション「旅のお供」では、ぬいぐるみ制作のほか、ぬいぐるみたちを乗せるカーペットや一匹ずつ展示するためのポケット付きの壁掛け、自立しないぬいぐるみをぶら下げるためのオリジナルの機構や窓を隠すカーテンなど、什器的なものを縫い物と編み物でこしらえました。
あとはでっかい暗幕を作るために無反射の黒布をミシンで繋ぎ合わせるということを時々やってます。写ってないですが自作だと《ナイトルーティーン》の時に、暗室で映像作品を発表することが多い荒川弘憲の作品では何回かこのデカ暗幕を私が担当しています。「芸術未来研究場展 2024」では、荒川の思考をビジュアライズするボードとして、マジックテープが引っ付くトイクロスを縫い合わせ大きな面を作りました。
必要に応じて刺繍や染め、レジンや木でのパーツ作りもやります。
アーティストステートメント
幼少期に祖母から教わった編み物、そして独学で学んだ学習漫画。それらは私の中で、「モチーフのデフォルメ」という共通の作業を内面化させました。その無意識の所作は、アウトプットを通して初めて自覚されます。そして、制作の過程で記憶や実感は常に上書きされ、思わぬ飛躍が生まれる余地を残します。
私は、自身の経験をうさぎ、海亀、蟹、人魚といった異質な身体を持つ生物を通して再解釈したり、連想ゲームのように辿り着いたモチーフを導入することで、元の文脈からずらし、異なる因果の可能性を探求します。それはたとえば漫画の文法を銅版画に組みこむことで作品の読解手段を豊かにする試みとして現れます。この延長として銅版画や映像、レディメイドなどが混ざり合いながら、ミクストメディア作品として結実することが多いです。
近年は、ナラティヴ・セラピーにおける語り直しや、小説や戯曲における翻案に着想を得て、メディアを横断しながらアウトプットを繰り返す制作を行っています。そこで生まれる作品は、私自身の思索のプロトタイプであり、記憶と経験の変容を記録したものです。個人的な記憶や経験を出発点としながらも、それらを解釈に開かれた物語へと昇華させる試みでもあります。
2025年2月
CV
展覧会での作品発表の他、自己出版での漫画やエッセイの出版、ぬいぐるみ制作やYouTubeコンテンツへの出演といった様々な形式のアウトプットにも地続きのものとして取り組んでいます。
—————— 個展・二人展 ——————
2025年
奥野智萌個展「記憶からあとずさり」(GALLERY b. TOKYO、東京)
2024年
「TOKAS-Emerging 2024」奥野智萌個展「新身訓練: I want to see my back.」(トーキョーアーツアンドスペース本郷、東京)
2022年
王之玉・奥野智萌二人展「New Animal」(屋上、東京)
「指点字を体感できる日 with Finger Braille Piano」(屋上、東京)
—————— グループ展 ——————
2024年
「令和5年度 東京藝術大学卒業・修了作品展」(東京藝術大学大学美術館、東京)
「アートアワードトーキョー丸の内2024」(行幸地下ギャラリー、東京)
「大昆虫展」(東京スカイツリーソラマチ、東京)
「漫画圏」(アート/空家 二人、東京)
東京ビエンナーレ2025プレアクション「旅のお供」(CREATIVE HUB UENO “es”/Slit Park YURAKUCHO、東京)
2023年
「NITO13 肩の力を抜いて腹をくくる」(アート/空家 二人、東京)
「東京藝術大学 先端芸術表現科 学部4年・修士2年WIP展 2023」(東京藝術大学取手校地、茨城)
「NITO14 想像の爆弾」(アート/空家 二人、東京)
藝祭2023「Neoteny Poiesis -この「かたち」のままで [ 成 / 生 / 為 / 鳴 / 倣 ] る- 」(東京藝術大学上野校地絵画棟1階アートスペース、東京)
「新しい嘘」(アート/空家 二人、東京)
「大昆虫展」(東京スカイツリーソラマチ、東京)
「科学と芸術の丘2023」(肉とイタリアンの店 porta verde、千葉)
「NITO15 家にある宇宙」(アート/空家 二人、東京)
2022年
KUMA experiment vol.5「箱の中の交差点」(クマ財団ギャラリー、東京)
「NITO12 東京群島生活」(アート/空家 二人、東京)
2021年
「アトラス展」東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程1年・博士課程2年成果展(東京藝術大学取手校地、茨城)
「Ø mars」(東京藝術大学取手校地、茨城+オンライン)
「PRIZE展」(アトレ取手4F とりでアートギャラリー、茨城)
「ヤギの目はアートの素をひねり出す」(アトレ取手4F たいけん美じゅつ場 VIVA、茨城)
「SDGs×ARTs展」(東京藝術大学大学美術館、東京)
東京藝術大学 平成藝術賞 受賞作家展「未来の大芸術家たち」(平成記念美術館 ギャラリー、東京)
令和2年度 東京藝術大学卒業・修了作品展(東京都美術館、東京)
—————— ワークショップ ——————
2024年
アイロンビーズをつくりながらおしゃべり会(アトレ取手、茨城)
千葉国際芸術祭2025 千葉県こども病院ワークショップ(千葉県こども病院、千葉)
—————— 自己出版・イベント ——————
2024年
『百年寝ようよ Vol.04 Theme 旅路』編集・発行(A5サイズ、122p)、掲載作品:「思い出に取り残される」(漫画、25p)
『先端芸術表現科向け 古美術研究旅行丸わかりBOOK』改訂版 編集・発行(A5サイズ、18p)
2023年
『百年寝ようよ Vol.03 Theme 身体改造』編集・発行(A5サイズ、72p)、掲載作品:「漫華鏡」(漫画、12p)
『藝大小話』編集・発行(A5サイズ、40p)、掲載作品:「レッツゴー取手校地」(漫画、2p)
2022年
『新身訓練』編集・発行(タブロイド判新聞印刷、4p)
2021年
漫画『人魚のつくり方』編集・発行(A4サイズ、12p)
『百年寝ようよ Vol.02』編集・発行(A5サイズ、88p)、掲載作品:「ナイトルーティーン」(漫画、7p)、「起床手」(写真、8p)
『謎レシピ集』松橋くんモデル編集・発行(A5サイズ、20p)
2020年
合同文芸誌『百年寝ようよ Vol.01』編集・発行(A5サイズ、60p)、掲載作品:「人魚のつくり方」(漫画、10p)
「ぬいぐるみがメニューにある日」主催(屋上、東京)
『本当に全部わかる 先端芸術表現科向け古美術研究旅行まるわかりBOOK』編集・発行(A5サイズ、12p)
2019年
「蟹パ(かにこ汁制作パーティー)」主催(屋上、東京)
『ツナマヨ・ミョウガ・チョコパイ』5部限定発行(A5サイズ、約40p)
2018年
『東京藝大裏ガイド2』発行(A5サイズ、約30p)
————— 出演・寄稿など —————
2024年
「アーティストの漫画話」出演(アート/空家 二人、Youtube)
2023年
「新春!ハローキティの脳内でお餅つき大喜利大会」出演(ぬいぐるみVtuberメーンくん、Youtubeライブ)
「AI×アート『新しい嘘』アーティストトーク」出演(アート/空家 二人、Youtubeライブ)
「98年生まれのアーティスト鼎談。無料ネイティブからWiiまで。」出演(アート/空家 二人、Youtube)
2022年
「箱の中の交差点」ギャラリートーク出演(クマ財団、Youtubeライブ)
「のみものよみもの『ドリンク』vol.2」漫画「おいしい飲み物探検隊 vol.2 苺ミルク」寄稿、特集「石茶会」出演(屋上、自己出版)
「TORIDE -SPRING- 2022」出演(取手市公式、Youtube)
「みのりランチ月報 1月号」インタビュー掲載(取手アートプロジェクト、広報誌、web広報誌)
2021年
「この世はシールに満ち溢れている!」寄稿(冷凍都市でも死なない、Webメディア)
「のみものよみもの『ドリンク』vol.1」漫画「おいしい飲み物探検隊 vol.1 お濃茶シェイク」寄稿・特集「秘蔵ドリンク試飲会」出演(屋上、自己出版)
ラジオ番組「The Penthouse」出演(FM FUKUOKA)
「なぜ?鍵盤六つのトイピアノ 芸大生は言った『指点字を飛ばしたい』」インタビュー掲載(with news、web記事)
「『文字が空を飛ぶ!浮遊するコミュニケーションを体感せよ☆』藝大生インタビュー2020|先端芸術表現 学部4年・奥野智萌さん」インタビュー掲載(とびらプロジェクト、web記事)
2020年
「日本の点字制定130周年記念講演」通訳介助・出演(社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合、Youtubeライブ)
NHK「ニュース7」指点字通訳・出演(NHK総合、テレビ番組)
「都市の土着料理」出演(屋上、Youtube)
2019年
『超漫画大陸パンゲア2』漫画「天使の輪」寄稿(主催:龍村景一・大里淳、自己出版)
2018年
『超漫画大陸パンゲア』漫画「ツナ・マヨネーズ」寄稿(主催:龍村景一・大里淳、自己出版)
—————— client work ——————
2022年
「DOMANI・明日展 2022-2023」作家紹介動画制作(国立新美術館、東京・Youtube)
「作曲系ぬいぐるみVtuberコロ助ぃ」デザイン・ぬいぐるみ制作
「ぬいぐるみVtuberメーンくん」メーンくんと仲間たち デザイン・ぬいぐるみ制作
2020年
電気湯マスコットキャラクター「ビリーくん」デザイン・ぬいぐるみ制作
—————— 受賞・助成 ——————
2024年
上月財団奨学生採択
特に優れた業績による返還免除(日本学生支援機構)
「アートアワードトーキョー丸の内2024」建畠晢賞
川嶋みらい文化芸術財団 採択
2023年
上月財団奨学生採択
「TOKAS-Emerging 2024」採択
2022年
クマ財団6期奨学生採択
上月財団奨学生採択
2021年
平成藝術賞
東京藝術大学「I LOVE YOU」プロジェクト採択
2010年
「農と水と環境を守る子ども絵画コンクール」高学年の部 優秀賞
